障子をはじめとする日本の建具には、長い歴史と職人の繊細な技術が込められています。
日常で何気なく使っている建具ですが、実は日本の環境に寄り添い、長く使えるための工夫が詰まっています。
■ ほぞ組という日本伝統技術|釘を使わない精密な組み上げ
伝統的な障子には、「ほぞ組み」と呼ばれる技法が使われています。
木を丁寧に組み合わせ、釘を一切使わずに仕上げることで、湿度の変化が大きい日本の四季に適応し、長年使える建具が完成します。
見えない内部構造こそ、職人の技術が光る部分。
強度と美しさを兼ね備えた、日本らしいものづくりの精神が息づいています。
■ 100年使える建具の理由|木材の力を引き出すものづくり
釘を使わずに組むことで、木本来の調湿機能を妨げないため、
割れにくく、壊れにくく、何十年も使用可能。
適切なメンテナンスを行えば、工具や建具は何十年も使えます。
古い道具を手入れしながら、世代を超えて受け継ぐ文化が、建具職人の現場には息づいています。
■ 日本の道具と技術を守り継ぐ姿勢
日頃のメンテナンスを大切にし、工具の調整を定期的に行うことで、
正確で美しい仕上げが可能になります。
職人は工具の状態を見極め、用途に合わせて使い分け、次の世代へ技術を継承しています。
■ 日々使い続ける鉋(かんな)の調整作業
「台ならし」鉋の木に当たる台の部分を調整する作業のこと。
ただ真っ平らにすればいいものではなく、刃の上側と下側で髪の毛1本分程度の高低差を作ったり、
左右差についての均等に調整することで鉋のかかり具合をコントロールします。
■ 山形・齋藤勇治建具店|110年の歴史を持つ建具店
山形にある齋藤勇治建具店(現在は「障子.com」)は、創業110年以上続く建具店。
国産・秋田杉を贅沢に使用し、自然の調湿機能を活かした障子づくりを続けています。
全国の工務店や、こだわりの障子を求める個人へ向けて、 高品質な手づくり建具を提供。
職人の高齢化で建具店が減る中、
伝統技法と日本文化を次の時代へつなぐための取り組みも行われています。
■ 伝統を未来へ|暮らしを豊かにするものづくり
建具は単なる建材ではなく、暮らしに寄り添い、心を整え、
世代を超えてつながる日本文化のひとつ。
技術と精神を守り、未来へ残すことが、伝統職人の使命です。