齋藤勇治建具店の歴史 〜第3章〜

山形県酒田市両羽町で営業する「齋藤勇治建具店」社屋。

当社の約110年に渡る歴史にふれる「齋藤勇治建具店の歴史 」シリーズ。平成以降を綴る第3章となります。

◆前記事【齋藤勇治建具店の歴史 〜第1章〜】

◆前記事【齋藤勇治建具店の歴史 〜第2章〜】

1915年(大正4年)に山形県酒田市で創業し、料亭文化が色濃く残る「上台町」で町の建具屋として55年にわたり自宅兼工場として営業したのち、1969年(昭和44年)、当時「酒田木工団地」として木材利用工場の誘致を行っていた現在の所在地にあたる「酒田市両羽町」に移転。

電力供給の普及や、木工機械の導入により仕事ぶりは大きく変わっていく中、熟練の手仕事を携えた建具職人たちの元に大きな依頼が舞い込みました。

 

天皇陛下の代替わりに伴う皇室行事「大嘗祭(だいじょうさい)」の行事の中核の一つ「大嘗宮」。

天皇陛下が即位する「大嘗祭(だいじょうさい)」の建具を造営

1989年(昭和64年)1月に昭和天皇が崩御され、元号が昭和から平成に代わりました。

そして宮内庁より、翌年11月に行われる大嘗祭(だいじょうさい、天皇即位後に初めて行う新嘗祭。皇位継承に伴い一代に一度だけある重要な儀式)のために建設される社殿に使われる建具の製作依頼が舞い込みました。(※厳密には、当社単独の請け負いではなく複数社による合同での請け負い)

 

一世一代の大仕事が始まる…宮内庁による入念な受注前検査

大嘗宮の中心をなす主基殿(すきでん)の建具製作。当然ながら大きな重責を担う職務でありましたが、2代目齋藤勇治が請け負いを決意。大嘗祭の会場となる皇居内の建設予定地への納入を予定しながらも、製作や組み立ては当社第1・第2工場内で行うため、受注前に宮内庁立会いでの図面や工法の検査が行われました。

通常の建具とは異なる古来からの工法、緻密な製法が求められるだけでなく、天皇即位の儀式に関わるという重責を担う世紀の大仕事。職人達はそれに真っ向から立ち向かい、ついにその製作が幕を開けたのでした。

 〜第4章に続く〜