2025.12.18
【かっこいい木材の和室】素晴らしい古材の舟板を使った床の間がいい!
和室の美しさは、素材が持つ歴史と存在感によって大きく変わります。 今回紹介する和室は、**古材の舟板(ふないた)**を用いた床の間が主役。 重厚感のある質感が空間の雰囲気を一段と引き立てています。 ■ 舟板とは?|船の側面に使われた古材 舟板は、かつて船の側板として使用されていた木材。 釘を打ち付けて組まれていたため、表面にはその痕跡が残ります。 動画で紹介されている舟板は、 ・ 釘跡を隠す処理が施され ・ バーナーで焼き ・ 表面を磨き上げた という手間をかけた一枚。 年月を重ねた木材ならではの深い表情が魅力です。 ■ 空間を支える“猿すべり柱”の存在感 床の間を彩る柱には、**猿すべり(さるすべり)**と呼ばれる独特な木材が使用されています。 木肌が曲がりながら伸びるため、一本として同じ形がなく、 和室に自然ならではのリズムと動きを与えます。 ■ 壁材「杉材のうす塗り」がつくる素朴な仕上げ 壁には杉材を薄く塗る技法を採用。 必要以上に隠さず、あえて木肌の風合いを見せることで、素朴で落ち着いた佇まいに。 茶室では、装飾を抑えた自然な仕上げが重視されるため、 素朴な素材感が活かされた構成になっています。 ■ 素材の魅力を最大限に生かした和室デザイン 舟板の古材感、猿すべり柱の動き、杉材の素朴さ。 それぞれの素材が持つ個性を組み合わせることで、 日本らしい静けさと力強さを併せ持つ和室が完成します。 古材ならではの深みのある表情は、 現代の住宅や店舗の和空間づくりにも取り入れたい魅力の一つです。 ■最後に 職人の技が詰まった障子.comの障子に興味を持っていただけた方は、ぜひサイトでご自分にぴったりの障子を探してみてくださいね!
2025.10.28
【建具の歴史】書院造の建具は室町時代から始まった和室の歴史です!
■ 書院造の建具に見る、和室の美しい歴史 ある日、職人の会長に少し変わった建具を見せてもらいました。 「これって、どんな建具なんですか?」と尋ねると、 「これは“書院造(しょいんづくり)”の意匠を受け継いだ作りなんですよ」と教えてくれました。 欄間(らんま)や組子(くみこ)などを組み合わせたこの建具は、室町時代に始まった和室文化の象徴。 間仕切りとしての機能だけでなく、光を通しながら空間を美しく演出する、日本独自の工芸です。 ■ 農家や料亭でも愛された「凝った意匠」 昔は農家の家や料亭でも、このような書院造の建具がよく使われていました。 特に料亭では「自分の店は一流だ」と示すために、職人の技を凝らした建具を競うように取り入れていたそうです。 木組みや透かし彫り、細かな装飾など、一つ一つが手仕事の芸術品。 日本人の「空間を飾る」という美意識が、建具にも息づいています。 ■ 雪国の知恵と職人の手仕事 当時の職人たちは、冬の間に建具を作りため、春に納品するというスタイルで仕事をしていました。 雪で外作業ができない時期を活かして、家の中でじっくりと木を組み上げていく。 その丁寧な仕事が、日本家屋の温かみを支えてきたのです。 ■ 現代では減りつつある「和の建具」 残念ながら、今ではこのような建具を望む人が少なくなりました。 「若い人たちは和室を持たない家づくりが多く、こうした建具の需要も減っているんです」と会長。 しかし、こうした職人の手でしか作れない美しい建具は、日本建築の魂そのもの。 少しでもこの文化を知り、未来に残していくことが、今を生きる私たちの役目なのかもしれません。 ■最後に 職人の技が詰まった障子.comの障子に興味を持っていただけた方は、ぜひサイトでご自分にぴったりの障子を探してみてくださいね!
2025.10.16
【職人仕事】失われていく職人仕事について聞いてみた
■ 茶室の丸窓の美しさ 大河ドラマなどで見かける茶室の丸い窓。 壁を円形にくり抜き、竹や木の組み目が見えるあのデザインは、見る人を惹きつけます。 ■ 職人の技による伝統工法 丸窓は建具屋ではなく、壁を組む小舞職人と左官職人の手仕事によるものです。 竹や葦を編み込み、土を重ねて塗り、円形に塗り残すことで丸い形が生まれます。 ■ 技術の継承が難しい現状 こうした技術を持つ職人は減少中。 京都ではまだ職人がいますが、地方ではほとんど見られません。 塗り壁には下地・中塗り・上塗りと手間がかかるため、依頼する人も少なくなっています。 ■ 現代の代替方法 現代の素材を使えば、プラスターボードやクロスで似たような見た目は作れます。 しかし、本物の職人仕事が持つ深みや質感には及びません。 ■ 職人仕事の価値 手間と時間をかけ、自然素材と向き合う職人の技。 失われつつあるこの仕事の価値を、私たちは改めて見直す必要があります。 ■最後に 職人の技が詰まった障子.comの障子に興味を持っていただけた方は、ぜひサイトでご自分にぴったりの障子を探してみてくださいね!
2025.02.04
障子の構造とは?縦框・横框など各部位の名称と伝統の工夫を解説
■ はじめに:障子.comの想いと本記事の概要 障子.comでは、世界に誇る日本文化である建具職人の技と心を守り伝え継ぎ、和の心と調和を大切にしながら心安らぐひとときを創出することを目指しています。障子や和室の建具に関する様々な情報を、プロの建具職人の視点から分かりやすく発信しています。 こちらでは「障子の構造」に焦点を当て、関連する解説動画と補足記事をお届けします。まずは動画「【保存版】障子紙の基本の張り替え方|初心者でも安心の道具と準備を詳しく解説!」で、障子の構造や各部位の名称について当社の会長(熟練の建具職人)が解説しています。その中で、「縦框(たてがまち)」「横框(よこがまち)」「戸首(とくび)」といった普段なかなか聞くことのない専門用語も丁寧に説明いたしました。障子に少しでも関心のある方や、初心者の方にも安心して理解いただける内容になっています。 動画をご覧いただいた後、本記事では動画内で紹介しきれなかったポイントや、よくある質問についてさらに詳しく解説します。「障子の構造ってどうなっているの?」「部材の名前や役割を知りたい」という疑問に職人の視点でお答えしていきます。ぜひ最後までお読みいただき、ご自身の和室づくりや障子の張り替え・リフォームの参考にしてみてください。 ■ 障子の基本構造と各部位の名称 まず、障子の基本的な構造について押さえておきましょう。障子は木製の枠組みと、その中に組み込まれた格子状の骨組みから成る建具です。大まかに分けると、外周の枠を形作る「框(かまち)」と内部を格子状に支える「組子(くみこ)」という部材に分類できます。 • 縦框(たてがまち) – 障子の左右の端に位置する縦方向の枠材です。建具全体の強度を支える重要な柱部分にあたります。一般に「竪桟(たてざん)」とも呼ばれ、これら縦框が左右の辺となって障子の外枠を形成します。 • 横框(よこがまち) – 障子の上下端に位置する横方向の枠材で、上桟(うわざん)・下桟(したざん)とも呼ばれます。上桟は障子最上部の横木、下桟は最下部の横木で、下桟の方が強度確保のため厚みが大きく作られるのが一般的です。障子によっては中央付近に中桟(なかざん)と呼ばれる横木を一本設ける場合もあります(中桟のないシンプルな障子も多く存在します)。 • 障子骨(しょうじぼね)=組子(くみこ) – 障子の枠内部に縦横方向に組み込まれた細い桟のことを指します。一般には組子と呼ばれ、障子の特徴的な格子模様を形成する部分です。それぞれ縦方向の組子を縦子(たてこ)、横方向の組子を横子(よここ)とも呼びます。組子の本数や配置によって障子のデザインや印象が大きく変わります。 以上のように、障子は縦框・横框からなる枠と、その中に細かな組子を組み込んだ構造になっています。枠の四隅や組子同士は精巧な仕口(しくち)で組み上げられ、紙を貼った際にしっかりとした一枚の建具となるよう設計されています。 なお、障子の上枠(上桟)の両端には「戸首(とくび)」と呼ばれるL字型の突起部が設けられている場合があります。戸首は障子を上部の鴨居(かもい:天井側の溝)にはめ込むための部分で、引き戸を正しい向きで鴨居に収めることで建具をしっかり立たせ、スムーズに開閉させる役割を果たします。戸首のおかげで、障子を立てたときにがたつきにくく安定し、開け閉めの際にも建具が外れたりしません。専門用語ですが、伝統的な障子の構造を語る上で欠かせない要素です。 ■ 引手(ひきて):障子の取っ手と素材 障子を開け閉めするための取っ手部分は「引手(ひきて)」と呼ばれます。障子紙を貼った面に丸い穴のあいた金物や木製パーツが埋め込まれているのを見たことがあるでしょう。それが引手です。 引手は指を掛けて障子をスライドさせるための部品で、形状や素材も様々な種類があります。一般的な障子では真鍮など金属製の引手や、木製の引手が使われることが多いですが、和の風合いを活かすために竹など自然素材で作られた引手も用いられます。 たとえば今回取り上げた障子では、竹材を使用した「胡麻引手(ごまひきて)」というタイプの引手が採用されていました。胡麻竹という斑点模様のある竹を材料に用いた引手で、素朴で自然な風合いが魅力です。引手ひとつとっても素材の違いで印象が変わり、和室の雰囲気に合わせて選ぶ楽しさがあります。 なお、引手は後付けで交換することも可能なパーツです。経年劣化やデザイン変更の際には、新しい引手に付け替えることで障子の表情を手軽に変えることができます。ただし寸法が合うものを選ぶ必要がありますので、不安な場合は専門業者に相談するとよいでしょう。 ■ 障子構造に見る職人の工夫:紙を美しく貼る「段差」の秘密 一見シンプルに見える障子ですが、その構造には職人の細やかな工夫が随所に凝らされています。例えば、障子の縦框や横框を触ってみると、紙を貼る面が他の面よりわずかに内側へ凹んでいることに気づくかもしれません。この微妙な段差こそが、障子紙を美しく貼るための職人技術のひとつです。 障子紙を貼る面が枠とフラット(同一平面)になっていると、紙を貼った際に枠との境目に違和感が生じたり、紙が僅かに浮いて見えたりすることがあります。そこで、あえて紙を貼る部分(框や組子の表面)を少し内側に引っ込めた設計にすることで、紙を貼ったとき枠との段差がなくなり見た目がすっきり美しく仕上がるのです。 「紙じゃくり」あるいは「付け子(つけこ)」と呼ばれるこの紙貼り代のための溝は、縦框および横桟の内側に設けられています。ここに障子紙の端を糊付けして貼り込むことで、紙と框が滑らかにつながり、綺麗な見栄えを実現できます。 要するに、紙の厚み分だけどこかに逃げ(ゆとり)を作るのが伝統建具の基本というわけです。建具職人は木材同士の組み合わせだけでなく、紙を貼った後のことまで考えて細部を設計しています。この段差の工夫により、貼り替え直後のピンと張った障子紙も違和感なく枠になじみ、障子全体が端正な表情に収まります。 ちなみに、この「逃げ」を設ける工夫は建築全般で重要な考え方です。木材が湿気で膨張することや、紙が伸縮することなど経年変化や調整を見越して、あらかじめ余裕を持たせておくことで、長期間にわたり不具合無く美しさを保てるようにしているのです。先人たちの知恵が詰まった障子の構造には、見えない部分にもこうした配慮が行き渡っています。 ■ 障子の種類とデザインバリエーション:カスタマイズも可能 障子の基本構造は前述の通りですが、そのデザインや種類は多岐にわたり、お客様の要望に合わせてカスタマイズすることも可能です。「縦框・横框と組子で構成された格子戸」と一口に言っても、組子の本数や配置、下部パネルの有無、素材の違いなどによって様々なバリエーションが存在します。ここでは代表的な障子の種類やデザイン例をいくつかご紹介しましょう。 • 荒間障子(あらましょうじ) – 組子の間隔を大きくとった障子です。縦横の組子の本数を基本より減らし、格子が粗めになっているのが特徴です。最もシンプルで一般的な障子の形で、使用する材料も少なくて済むため比較的安価に製作できます。「荒組障子」とも呼ばれ、素朴で開放的な印象を与えます。 • 繁障子(しげしょうじ) – 組子の間隔を狭く、細かく入れた障子の総称です。横方向の組子を増やしたものを横繁障子(よこしげしょうじ)、縦方向の組子を増やしたものを縦繁障子(たてしげしょうじ)と呼びます。横繁障子では横桟が多く入ることで水平のラインが強調され、空間に広がりを感じさせます。一方、縦繁障子では垂直のラインが強調され、高さ方向の伸びやかさを演出します。 伝統的に横繁障子は関東地方で、縦繁障子は関西地方で好まれる傾向があるとも言われます。いずれも組子の細やかな美しさが際立ち、上品で凝った印象になります。 • 腰付障子(こしつきしょうじ) – 腰板(こしいた)と呼ばれる板張りの部分を下部に設けた障子です。障子の下半分ほどを板戸や襖貼りにして補強しており、腰の高さまでの範囲で障子紙を使わない構造になっています。下部を板張りにすることで、家具が当たったり人が蹴ってしまったりしても破れないよう強度を高めているのが特徴です。和室の腰壁のような役割も果たし、重厚感が増すためモダンな和洋折衷空間にも取り入れやすいデザインです。 • 雪見障子(ゆきみしょうじ) – 下部にガラス窓をはめ込んだ障子です。腰板部分に透明ガラスの開口があり、さらにその内側に小障子(組子と紙を貼った小さな障子板)が上下にスライドできるよう組み込まれています。障子を閉めたままでもガラス越しに外の景色(雪景色)を楽しめることから「雪見」の名が付きました。下部の小障子を上げ下げすることで換気も可能で、採光と視界確保を両立した風情あるデザインです。 • デザイン障子・変わり組子 – 従来の規則正しい格子模様にとらわれず、現代的な感性でアレンジした障子も登場しています。たとえば吹き寄せ障子のように、2本一組の組子を間隔ごとにリズミカルに配置したものや、組子を斜め格子や麻の葉模様、市松模様など伝統文様に組んだもの、さらには組子の色を黒や白に塗り分けてモダンなインテリアに調和させたものまで様々です。職人にオーダーすれば、お好みのデザインでオリジナルの障子を製作することも可能です。 このように、障子の構造は基本を押さえつつも多彩なデザイン展開が可能です。「組子の本数を増減して和室をモダンに見せたい」「下部にガラスを入れて採光を確保したい」「伝統的な柄でアクセントを付けたい」等、ご要望に合わせて自由にカスタマイズできます。 実際に障子.comでも、お客様のご希望に応じて組子の配置変更や腰付障子への変更、特殊な引手の取り付けなど柔軟に対応しております。世界に一つだけのオリジナル障子を作ることも夢ではありませんので、気になる方はぜひ一度ご相談ください。 ■ まとめ:障子の構造に宿る知恵と、より良い和空間づくりのために 見た目にはシンプルな障子ですが、その構造には職人の知恵と工夫が隅々まで詰まっていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。縦框・横框といった枠組みから、細やかな組子、引手の素材選び、紙を美しく貼るための仕掛けまで、それぞれの部位にちゃんと意味があり、理由があって組み立てられています。 基礎を知って障子を見ると、何気ない和室の障子にも職人の思いが込められていることに気づき、きっと見方が変わってくるはずです。ぜひご自宅や身近な和室の障子にも目を向けて、その作りを観察してみてください。「なるほど、こうなっていたのか」と新たな発見があるかもしれません。 障子.comでは、障子に関するあらゆるご相談やオーダーメイド製作のご依頼を承っております。「障子を新調したいがどの種類が良いか迷っている」「自分で張り替えたいけど上手くできるか不安」「和室をリフォームするのでプロの意見を聞きたい」──そのようなお悩みがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。 経験豊富な建具職人が、伝統を踏まえつつ現代の暮らしに合った最適なプランをご提案いたします。障子の構造と魅力を知った今、ぜひ私たちと一緒に快適で心和む和空間づくりを実現してみませんか。障子.comが皆様の和の暮らしをサポートいたします。 スタッフ一同、皆様からのご相談・ご依頼を心よりお待ちしております。最後までお読みいただきありがとうございました。ぜひ今回の動画がお役に立ちましたら「いいね👍」やチャンネル登録もよろしくお願いいたします! 和の住まいをより良くする情報を今後も発信してまいります。では、次回もお楽しみに。