建具職人・佐藤さんに、カンナで木材を削る様子を見せてもらいました。
しかし削り始めると「なんだか切れ味が悪いですね」との一言。
そこで「では、研いでみましょう」と急遽、刃物研ぎの実演をしていただくことになりました。
■砥石の種類と使い分け
佐藤さんが使うのは2種類の砥石。
①中仕上げ用の砥石 … 切れ味を回復させるために使う
②最終仕上げ用の砥石 … 表面を磨き上げ、切れ味をさらに良くする
まずは中仕上げ用の砥石から。しっかりと水に浸し、水分を含んでから研ぎ始めます。
■研ぎの基本ポイント
研ぎ方には重要な注意点があります。
・角度を守ること
片刃の場合は「向こう」は削らず、斜めになっている表側だけを研ぐ。
・均等に力を入れること
ひたすら力が偏ると、刃も偏って削れてしまう。 砥石に平らにあてはめ、角度を調整しながら研ぎ続ける。
・当たり具合を確認すること
指で刃先を軽く触り、かなりを感じれば研ぎが進んでいる証拠。 逆につるっと滑る場合は丸くなって切れ味が落ちているサイン。
■仕上げ研ぎと「返し」取り
中仕上げで研いだ後は、最終仕上げの砥石で刃を磨きます。表面がピカピカに光り出し、良い仕上がりです。
ただし片刃の場合は、研ぐと向こうに「返し(バリ)」が出ます。これを軽く平らに置いて削り取り、刃を整えることが重要です。
■ノミの研ぎ方
続いてノミの研ぎ。
力の入れ方は「左手でしっかり固定し、押す力をかける」「右は角度を調整するだけ」。
最後に取り返したら、驚くほど切れる状態になります。
■研ぎの注意点まとめ
最後に佐藤さんから、研ぎの大事なポイントを整理していただきました。
①砥石は必ず平らなものを使うこと
波打った砥石では、とにかく丁寧に研いでも刃はきれいに仕上がりません。
②片刃は裏を研がないこと
研ぐのは斜めの表側だけ。裏はお返し程度に留める。
③角度を一定に定めること
角度が狂うと偏って削られてしまう。 均等に刃先が当たるよう調整すること。
この3つを守れば、家庭で包丁を研ぐ時にも応用できることです。
■まとめ
カンナやノミは、正しい方法で研げば驚くほど切れ味が蘇ります。
研ぎの基本は「砥石の平面」「角度」「力加減」の3つ。
刃の切れ味が落ちたと感じたら、ぜひ今日のポイントを参考にチャレンジしてみてください。