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障子職人コラム

私達が作る建具のこだわりや魅力を、職人の目線でわかりやすくお届けします。

2025.03.04

齋藤勇治建具店の歴史 〜第4章〜

山形県酒田市両羽町で営業する「齋藤勇治建具店」社屋。   当社の約110年に渡る歴史にふれる「齋藤勇治建具店の歴史 」シリーズ。大嘗祭(だいじょうさい)のための建具製作から完成までを綴る第4章となります。  ◆前記事【齋藤勇治建具店の歴史 〜第1章〜】  ◆前記事【齋藤勇治建具店の歴史 〜第2章〜】  ◆前記事【齋藤勇治建具店の歴史 〜第3章〜】 1989年(昭和64年)1月に昭和天皇が崩御され、元号が昭和から平成に代わりました。電力供給の普及や、木工機械の導入により仕事ぶりは大きく変わっていく中、熟練の手仕事を携えた建具職人たちの元に 翌年11月に行われる大嘗祭(だいじょうさい、天皇即位後に初めて行う新嘗祭。皇位継承に伴い一代に一度だけある重要な儀式)のために建設される社殿に使われる建具の製作依頼が舞い込みました。   主基殿(すきでん)の建具(折戸扉)製作風景。全て職人による手作業で進められる。   困難を極める主基殿の建具製作、職人たちの意地と執念 宮内庁立会いの元行われた受注前検査が終わり、ついにその製作が始まりました。製作するのは主基殿正面に取り付けられる折戸扉や黒木灯籠などで、その全てが職人による手作業で行われました。一般住宅建具に精通した職人達ではありましたが、社殿に用いられる建具全ては伝統的な工法を必要とするため、その製作は困難を極めました。 例えば丸太同士の接合部は1本1本彫刻刀を使って削り出すなど、その特殊な工法には膨大な時間と緻密な技術が必要でした。そのため納得の出来に至るまでには、何度となく失敗や作り直しを繰り返し、職人達の意地と執念の集大成とも言える過酷な作業が連日連夜続けられたのです。   高度な技術と特殊な工法が求められた主基殿(すきでん)の建具製作は連日連夜続けられた。 苦難の末、建具が完成、皇居での組み立て作業へ そして苦難の末、自社工場で続けられていた建具制作をどうにか予定通りの期日まで完了させ、1990年(平成2年)10月、その建具を現地(皇居)に運び込んでの組み立て作業を行うため、山形県〜東京都間を運搬。なお、社会情勢的に反社会勢力などから妨害を受ける危険性も十分考えられたため、その運搬は極秘で行われました。 そして、10月20日〜22日の3日間に渡り現地での組み立て作業、取り付け作業を行い無事完了。ついに主基殿の建具造営の大仕事をやり果たすこととなりました。   宮内庁の方々も見守る中現地での組み立て作業が行われた。   完成した主基殿正面の折戸扉。   背面から見た主基殿。当社施工の黒木灯籠や雨儀御廊下が見える。   当社で保管している造営記念品として宮内庁より贈られた菊紋入りの盃。 苦難の末、建具が完成、皇居での組み立て作業へ 無事大仕事をやり果たした職人達の手元には、記念品である菊紋が施された特注の盃が贈呈されました。 それから35年の月日が流れ、当時代表を務めた2代目齋藤勇治から、3代目齋藤優晴、そして現代表の齋藤晴紀へと受け継がれ、創業から110年が経とうとしております。     北前文化を誇り、料亭が立ち並ぶ最盛期の山形県酒田市、その町の小さな建具屋から始まった当社の歴史。その歴史は、無数の建具を丹精を込めてこの世に生み出し続けてきた職人たちの歴史とも言えます。 110年の歳月の中で人々に求められる建具の価値は大きく変わったかもしれません。 ただ、職人たちの手によって作られた、世界に一つだけの建具の価値。 それをお客様一人一人にお届けするという当社の使命は、当時も今も全く変わっていないということをこの「齋藤勇治建具店の歴史」シリーズから感じていただけたら幸いです。 〜完〜

2025.03.04

齋藤勇治建具店の歴史 〜第3章〜

山形県酒田市両羽町で営業する「齋藤勇治建具店」社屋。 当社の約110年に渡る歴史にふれる「齋藤勇治建具店の歴史 」シリーズ。平成以降を綴る第3章となります。 ◆前記事【齋藤勇治建具店の歴史 〜第1章〜】 ◆前記事【齋藤勇治建具店の歴史 〜第2章〜】 1915年(大正4年)に山形県酒田市で創業し、料亭文化が色濃く残る「上台町」で町の建具屋として55年にわたり自宅兼工場として営業したのち、1969年(昭和44年)、当時「酒田木工団地」として木材利用工場の誘致を行っていた現在の所在地にあたる「酒田市両羽町」に移転。 電力供給の普及や、木工機械の導入により仕事ぶりは大きく変わっていく中、熟練の手仕事を携えた建具職人たちの元に大きな依頼が舞い込みました。   天皇陛下の代替わりに伴う皇室行事「大嘗祭(だいじょうさい)」の行事の中核の一つ「大嘗宮」。 天皇陛下が即位する「大嘗祭(だいじょうさい)」の建具を造営 1989年(昭和64年)1月に昭和天皇が崩御され、元号が昭和から平成に代わりました。 そして宮内庁より、翌年11月に行われる大嘗祭(だいじょうさい、天皇即位後に初めて行う新嘗祭。皇位継承に伴い一代に一度だけある重要な儀式)のために建設される社殿に使われる建具の製作依頼が舞い込みました。(※厳密には、当社単独の請け負いではなく複数社による合同での請け負い)   一世一代の大仕事が始まる…宮内庁による入念な受注前検査 大嘗宮の中心をなす主基殿(すきでん)の建具製作。当然ながら大きな重責を担う職務でありましたが、2代目齋藤勇治が請け負いを決意。大嘗祭の会場となる皇居内の建設予定地への納入を予定しながらも、製作や組み立ては当社第1・第2工場内で行うため、受注前に宮内庁立会いでの図面や工法の検査が行われました。 通常の建具とは異なる古来からの工法、緻密な製法が求められるだけでなく、天皇即位の儀式に関わるという重責を担う世紀の大仕事。職人達はそれに真っ向から立ち向かい、ついにその製作が幕を開けたのでした。  〜第4章に続く〜

2025.03.04

齋藤勇治建具店の歴史 〜第2章〜

山形県酒田市両羽町で営業する「齋藤勇治建具店」社屋。 今回は「齋藤勇治建具店の歴史 」シリーズ第2章として、当社の約110年に渡る歴史にふれていきます。 ◆前記事【齋藤勇治建具店の歴史 〜第1章〜】 1915年(大正4年)に山形県酒田市で創業し、料亭文化が色濃く残る「上台町」で町の建具屋として55年にわたり自宅兼工場として営業しました。 そして、1969年(昭和44年)、当時「酒田木工団地」として木材利用工場の誘致を行っていた現在の所在地にあたる「酒田市両羽町」に移転することとなりました。   上台町で営業していた当時の作業風景。 酒田木工団地への移転、木工機械を駆使した技術へ 長きに渡り建具屋を営んだ場所から酒田木工団地に移転、電力の確保が可能になったことで、職人たちの手作業や、人力による運搬などが主だった建具屋の仕事は木工機械の導入によりどんどんと変化していきました。 のこぎりで手切りしていた材木のカットは電動のこぎりへと、木材を削るカンナも電動へ、材木同士を組み合わせるほぞの加工も木工機械の使用により生産性が大幅に向上しました。   平成初頭の工場で作業風景。職人たちが後述の昭和天皇に奉納する建具を製作する様子。 欠くことのできない手仕事の価値、そして転機へ 木工機械の導入により一変した建具屋の仕事ですが、それはあくまで「大まかな作業を機械に任せ、生産速度を上げる」ために過ぎず、建具の出来を大きく左右する正確無比な仕上げや組み立てなど、職人たちの手仕事の価値が失われることはありませんでした。 木工団地への移転の翌年、2代目齋藤勇治が「齋藤勇治建具店」として法人化 そして生産性は向上の一途を辿り、建具の生産量も年々増加していく中、時代はバブル景気渦巻く平成へと移っていきました。そんな時、熟練の技術を携えた建具職人たちの元に当社最大の転機となるオファーが舞い込んだのでした。 〜第3章に続く〜

2025.02.06

1000年以上の歴史が語る「障子」の有用性

日本家屋の建具の一つである「障子」。いわゆる「格子状の木枠の片面に和紙でできた障子紙を貼ってある戸」のことです。子供の頃から身近なようで、それについて深く考えを巡らせた方はそういないかもしれません。 障子は間仕切りとして使用されるほか、障子は採光が可能なため、外部からの視線を遮りつつ、外の光を取り入れることもできます。 障子を閉めた状態でも室内は暗くならず、柔らかな優しい光によって心地よい空間づくりが可能です。光を取り入れることができる反面、完全に目隠しをすることはできませんが、直射日光や風を遮ることができ、多少の保温性も備えています。 平安時代からとされる「障子」の歴史 障子は遮る意味を持つ「障」と、小さな道具という意味を持つ「子」を組み合わせたもので、平安時代から使われてきました。その由来は中国にあります。しかし、当時は現在の「襖」に相当するものを「障子」と呼んでいました。 その後「襖障子」と呼ばれ、現在の障子の原型となるものが誕生したのは、襖の誕生からおよそ100年後です。 南北朝時代に入ると、和紙の生産量が増加し、間仕切りとして使用されるようになりました。障子は室内に光を取り入れられるため、当時は「明かり障子」と呼んでいました。その後、襖障子を「襖」、「明かり障子」は「障子」と呼ばれるようになりました。 和の建具「障子」だけが持つ魅力 日本の伝統的な建具のひとつ障子(しょうじ)。和紙を透過して室内に入る光は、ほかの素材では得られないやさしさがあり、白い紙に反射したやさしい明るさは部屋全体に広がります。木と紙で作られた障子の陰影を見ていると落ち着きが感じられ、シンプルで飽きのこないデザインも魅力です。 ●調湿作用がある 日本は季節によって、乾燥したり湿気がこもりやすくなったりしますが、障子には調湿作用があるので、湿度調整を自然と行ってくれます。寝室やリビング等、居室スペースの快適性にも役立ちます。 ●柔らかくて均一な光で部屋全体が明るくなる 障子は大気中にある光を柔らかく拡散させる効果があり、自然な明るさを作りだして心地よさを与えてくれます。例えば日差しの強い日中でも、障子なら光を優しく取り入れることができます。 ●断熱効果がある 窓と障子の間に空気層も生まれるので断熱性も高まります。例えば、畳リビングや寝室に設けると足元も冷えにくく快適に過ごしやすくなります。 ●空間に広がりが生まれる 障子が演出する陰影により、立体感が生まれ壁に奥行感が生まれます。その効果によって空間に広がりを感じることができます。例えば、リビングと畳間の仕切りを障子にすることによりその先の光と影が取り入れられるので、空間が続いているような感覚になります。 障子.comなら、職人が一つ一つ手仕事で作り上げた障子を手軽にお買い求めできます。ぜひ障子が持つ伝統的な魅力にふれてみて下さい。

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施工実績・導入事例

私達の制作実績をご紹介しています。施工イメージのご参考に、ぜひご覧ください。

2025.06.12

「つい長居してしまう、自分の居場所」モダンな和室の魅力

こんにちは。障子.comブログ担当の野口です。 「和室」って不思議と心が安らぎますよね。ついつい時を忘れて長居してしまったり。 いつもは洋室派だけど、和室の旅館などに泊まったらとてもリフレッシュした、なんていう経験ありませんか? 近頃では「和室はあえて設けない」という選択肢も増えてきていて、それはとても弊社としてもさみしい限り。和室は日本人のDNAに刻まれていると言っても過言ではないとても素晴らしい建具。 それに、色んな用途に使える実用性もポイント。 友達や家族など、来客の時のお泊りスペースや、お子さんのお遊びスペースとしても。柔らかい障子や畳は転んだときも安心です。   山形県天童市「シエルホームデザイン」様が設計した和室をご紹介します。 障子の格子の桟を極限まで減らしたデザインの弊社の障子を採用いただきました。スッキリとしたモダンな和室の雰囲気に障子が一役買っています。     洋室へと続く間仕切りには、特注の障子ドアを採用しました。 通常のドアに比べて圧迫感が感じにくいですし、なによりモダンな和室と相性がgoodです!モダンな琉球畳とあいまって、とてもオシャレな和室に仕上がっています。 そして忘れてはいけない障子ならではの良さ、適度な採光、適度な保温断熱効果、調湿効果も嬉しいですよね。   ご自宅にモダンな和室を作りたい!という方はぜひこちらの「シエルホームデザイン」さんの和室をご参考にしてみて下さい。 つい長居してしまう、自分の居場所。 そんな特別な魅力が和室空間には溢れています。

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障子で彩る暮らし、
日本の美を未来へ

障子は、日本の伝統美と機能性を兼ね備えた建具です。

やわらかな光を透かし、室内に穏やかな陰影を生み出すその佇まいは、心に安らぎを与え、四季の移ろいを感じさせる風合いと、通気性の良さが快適な空間を演出。和室はもちろん、現代のインテリアにも調和し、暮らしに温もりを添えます。

私たちは、職人の技を受け継ぎながら、未来へとつながる障子の魅力を発信し続けます。

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