和室の美しさは、素材が持つ歴史と存在感によって大きく変わります。
今回紹介する和室は、**古材の舟板(ふないた)**を用いた床の間が主役。
重厚感のある質感が空間の雰囲気を一段と引き立てています。
■ 舟板とは?|船の側面に使われた古材
舟板は、かつて船の側板として使用されていた木材。
釘を打ち付けて組まれていたため、表面にはその痕跡が残ります。
動画で紹介されている舟板は、
・ 釘跡を隠す処理が施され
・ バーナーで焼き
・ 表面を磨き上げた
という手間をかけた一枚。
年月を重ねた木材ならではの深い表情が魅力です。
■ 空間を支える“猿すべり柱”の存在感
床の間を彩る柱には、**猿すべり(さるすべり)**と呼ばれる独特な木材が使用されています。
木肌が曲がりながら伸びるため、一本として同じ形がなく、
和室に自然ならではのリズムと動きを与えます。
■ 壁材「杉材のうす塗り」がつくる素朴な仕上げ
壁には杉材を薄く塗る技法を採用。
必要以上に隠さず、あえて木肌の風合いを見せることで、素朴で落ち着いた佇まいに。
茶室では、装飾を抑えた自然な仕上げが重視されるため、
素朴な素材感が活かされた構成になっています。
■ 素材の魅力を最大限に生かした和室デザイン
舟板の古材感、猿すべり柱の動き、杉材の素朴さ。
それぞれの素材が持つ個性を組み合わせることで、
日本らしい静けさと力強さを併せ持つ和室が完成します。
古材ならではの深みのある表情は、
現代の住宅や店舗の和空間づくりにも取り入れたい魅力の一つです。
■最後に
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■ 書院造の建具に見る、和室の美しい歴史 ある日、職人の会長に少し変わった建具を見せてもらいました。 「これって、どんな建具なんですか?」と尋ねると、 「これは“書院造(しょいんづくり)”の意匠を受け継いだ作りなんですよ」と教えてくれました。 欄間(らんま)や組子(くみこ)などを組み合わせたこの建具は、室町時代に始まった和室文化の象徴。 間仕切りとしての機能だけでなく、光を通しながら空間を美しく演出する、日本独自の工芸です。 ■ 農家や料亭でも愛された「凝った意匠」 昔は農家の家や料亭でも、このような書院造の建具がよく使われていました。 特に料亭では「自分の店は一流だ」と示すために、職人の技を凝らした建具を競うように取り入れていたそうです。 木組みや透かし彫り、細かな装飾など、一つ一つが手仕事の芸術品。 日本人の「空間を飾る」という美意識が、建具にも息づいています。 ■ 雪国の知恵と職人の手仕事 当時の職人たちは、冬の間に建具を作りため、春に納品するというスタイルで仕事をしていました。 雪で外作業ができない時期を活かして、家の中でじっくりと木を組み上げていく。 その丁寧な仕事が、日本家屋の温かみを支えてきたのです。 ■ 現代では減りつつある「和の建具」...
■ 茶室の丸窓の美しさ 大河ドラマなどで見かける茶室の丸い窓。 壁を円形にくり抜き、竹や木の組み目が見えるあのデザインは、見る人を惹きつけます。 ■ 職人の技による伝統工法 丸窓は建具屋ではなく、壁を組む小舞職人と左官職人の手仕事によるものです。 竹や葦を編み込み、土を重ねて塗り、円形に塗り残すことで丸い形が生まれます。 ■ 技術の継承が難しい現状 こうした技術を持つ職人は減少中。 京都ではまだ職人がいますが、地方ではほとんど見られません。 塗り壁には下地・中塗り・上塗りと手間がかかるため、依頼する人も少なくなっています。 ■ 現代の代替方法 現代の素材を使えば、プラスターボードやクロスで似たような見た目は作れます。 しかし、本物の職人仕事が持つ深みや質感には及びません。 ■ 職人仕事の価値 手間と時間をかけ、自然素材と向き合う職人の技。 失われつつあるこの仕事の価値を、私たちは改めて見直す必要があります。...
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