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日本の伝統建具、障子の美しさを支える「骨組み(生枠)」について解説します。 空間の印象や耐久性に直結する重要な部分なので、選び方や種類を知っておくとDIYやリメイクにも役立ちます。
■ 障子枠の基本構造と寸法
障子の生枠には「見付(幅)」と「見込み(奥行き)」という寸法があります。 ・ 見付け:正面から見える幅。細めはスタイリッシュに、太めは重厚感に。 ・ 見込み:枠の奥行き。薄いと軽快な印象、深いと安定感が出ます。 この2つのバランスで部屋全体の印象が大きく変わります。 1枚の板が、ここから何本もの骨へと姿を変えていく——障子づくりの最初の重要工程です。
■ 障子枠を構成する6つの部位
生枠は以下の部位で成り立っています。
① 上桟(かみざん):最上部で軽量かつ強度が必要。 ② 下桟(しもざん):力がかかる部分で幅広に設計。 ③ 框(かまち):左右の縦枠。持ち運びや使用時の負荷を支える。 ④ 中桟(なかざん):補強やデザインの役割。 ⑤ 組子(くみこ):装飾的な骨組み。和の繊細さや重厚感を演出。 ⑥ 腰板(こしいた):耐久性と装飾性を兼ねた下部の板。 それぞれの部位が、障子の美しさと機能性を支えています。
■ 障子枠の製造工程
① 材料準備:軽くて強い杉や桧を乾燥させて使用。 ② 精密加工:カンナやヤスリを使いミリ単位で切り出し。角を落として手触りを滑らかに。 ③ 組み立て・仕上げ:枠同士を正確に組み、釘を使わず補組で強度を確保。 伝統技法で作る障子枠は、釘を使わずとも強度と美しさを兼ね備えています。
■ 障子枠の種類と特徴
障子枠はデザインや用途によって種類があります。 ① 荒組み障子:組み粉の間隔が広く、モダン・シンプル向き。 ② 横繁障子:横方向に組子を多く配置、視線を横に流す効果。 ③ 縦繁障子:縦方向の組子、空間に高さや奥行きを感じさせる。 ④ 腰付き障子:下部に腰板付きで耐久性が高く人通りの多い場所向き。 ⑤ 雪見障子:障子を閉めたまま外の景色を楽しめるデザイン。 ⑥ 猫間障子:小さな通路付き、ペット向き。 ⑦ アルミ障子:耐湿・耐久性に優れ、水回りやバスルーム向き。 組子や素材によって、空間の印象や機能性が大きく変わります。
■ 選び方のポイント
① 框の寸法:設置場所や雰囲気に合わせて見付と見込みを選ぶ。 ② 枠の組み方:伝統的な方法か、簡易施工か。 ③ 素材:天然木、合板、アルミなど。耐久性や加工性で選択。 障子を新調する場合は、素材にもよるが障子.comなら1枚あたり3〜5万円くらい。 新築やリフォームの場合、施工費用や採寸費が別途かかることもあるので注意。
■ メンテナンスとトラブル対策
・ 定期的な掃除:埃や汚れを柔らかい布やブラシで落とすだけでも劣化防止に。 ・ 動きが悪くなる原因:木材の膨張や建物の歪み。 ・ 対処法:乾燥させる、必要であれば建具店に相談。滑りテープで一時的にカバーも可能。
■ DIYやリメイクのアイデア
・ 布貼り:北欧風やモダン柄を貼り付け、和室にもアクセントを。 ・ 透明板貼り:アクリルやポリカーボネートで耐久性アップ。お子様やペットがいる場所 でも安心。
■ まとめ
障子枠を理解することで、和の空間を美しく保ちながら、自分好みにリメイクも可能です。 障子.comでは、厳選された秋田杉を使い、職人が1枚ずつ丁寧に仕上げた障子枠を提供。 ミリ単位のオーダーメイドにも対応しており、伝統技法と現代ニーズを融合した製品が手に入ります。
日本の伝統建具であり、今なお多くの住まいや店舗で選ばれ続ける「雪見障子」。 今回は、障子のプロ集団・障子.comが、雪見障子の魅力から選び方、お手入れ方法までをわかりやすく解説します。 ■ 雪見障子とは? 雪見障子は、下部にガラス窓をはめ込み、障子を閉めたまま外の景色や庭を楽しめる建具です。 その名の通り、室内にいながら“雪景色を見るため”に生まれた、日本らしい美意識が詰まった障子です。 ・ 上部:障子紙による柔らかい光 ・ 下部:ガラスによる明るさと景観性 和室はもちろん、現代のモダンインテリアにも美しく馴染みます。 ■ 雪見障子と猫間障子の違い よく混同されがちですが、構造が異なります。 ・ 雪見障子:ガラス窓が固定されている ・ 猫間障子:小窓が上下や左右に動く可動式 注文や修理の際は、この“ガラス部分が動くかどうか”がとても重要です。 ■ どんな空間に向いている? 雪見障子は、意外にも幅広い空間に合います。 ・ 和室 ・ リビング...
■ はじめに:和の建具と障子.comの想い 障子.comでは、世界に誇る日本文化である建具職人の技と心を守り伝え継ぎ、和の心と調和を大切にすることで心安らぐひとときをつくるため、障子や建具に関する有益な情報を発信しています。 今回は「障子のサイズ」にスポットを当て、障子リメイクに欠かせない枠と紙のサイズについて解説します。サイズのわずかな誤差が仕上がりを不安定にしたり、作業の妨げになることもあるため、正確な測定と適切な障子紙の選定がとても重要です。 まずは関連動画を紹介し、その後に動画内で伝えきれなかったポイントや、よくある質問への回答も含めて詳しく解説します。 ■ 動画解説:障子DIYで知っておきたい枠と紙のサイズ 今回ご紹介する動画「障子リメイクするなら枠と紙のサイズについて知らないといけません【障子 DIY】」では、障子をDIYで張り替える際に知っておくべき枠の測り方や紙選びのポイントについて、職人である私が実演を交えながら説明しています。 動画では、障子枠を正しく測定するコツ(枠の内側寸法を測り、のりしろ分を足す方法)や、代表的な障子紙の種類(一枚貼り・美濃判・半紙判)の違いなどを中心に解説しました。まずはぜひ動画をご覧いただき、イメージをつかんでみてください。 いかがでしたでしょうか?動画内では触れきれなかった細かな点や、DIY時によく出る疑問点について、この後の記事部分で補足していきます。 障子のサイズに関する総合ガイドとして、採寸方法から紙の種類、さらにはトラブルへの対処法まで網羅していますので、ぜひ参考にしてください。 ■ 障子サイズの基礎知識:伝統的な寸法と現代の規格 障子の寸法は何によって決まるのでしょうか? 実は、障子のサイズは日本建築の伝統的な基準である「畳(たたみ)」や「間(けん)」の寸法と深く関係しています。 日本の住宅では柱と柱の間隔(=一間:約1,818mm)が基準となり、それに合わせて障子の幅や枚数が決められてきました。例えば、部屋の幅が1間(約180cm)なら障子2枚、2間幅なら4枚という具合に、空間の大きさに応じて障子の枚数・サイズが設計されてきたのです。 これは畳のサイズにも由来しており、関東で一般的な江戸間(約176cm×87cm)の畳を2枚並べるとほぼ1間幅になることから、障子1枚の標準幅が約90cm、高さ約180cm前後に定められました。 時代とともに日本人の体格が向上したため、背の高い方向けに障子の丈も見直され、高さ2mを超えるようなタイプも登場しています。 こうした伝統寸法に基づき、現在流通している障子枠のサイズ規格も大きく分けていくつかの種類があります。代表的なものを以下にまとめます。 • 基本サイズ(大障子):幅約900mm×高さ約1,800mm前後。もっとも標準的で一般的な和室によく使われるサイズです。障子2枚でちょうど1間(約180cm)幅を覆うため、多くの住宅で採用されています。...
和室の表情を大きく左右する「障子」。 その中でもアンティーク障子は、木の細工や組み方に職人技が凝縮されています。 今回の障子も、シンプルながら高度な技術が求められる仕様が特徴です。 ■ 前框(まえがまち)の“尖り加工”が生むシャープな印象 一般の障子では、縦骨・横骨は6〜7mm幅の均一な材で組まれます。 しかし、このアンティーク障子では、 前側(手前側)を尖らせて細く見せる加工を施している点がポイント。 このデザインによって、障子全体の見た目がぐっとシャープな印象になります。 ■ 精密さが求められる“組み合わせ”の技術 細く見せるため尖らせると、 ・ 木材の接合部に隙間を出さない ・ ぴたりと合うように組み上げる という高度な調整が必要になります。 そのため、一般の障子よりも手間も技術も数段上の加工。 見た目の美しさの裏に、丁寧な手仕事が隠れています。 ■ 今では希少な職人技|かつては腕自慢の仕事だった 現在では、...