障子のサイズ徹底ガイド:測り方から紙の種類・選び方まで

■ はじめに:和の建具と障子.comの想い

障子.comでは、世界に誇る日本文化である建具職人の技と心を守り伝え継ぎ、和の心と調和を大切にすることで心安らぐひとときをつくるため、障子や建具に関する有益な情報を発信しています。
今回は「障子のサイズ」にスポットを当て、障子リメイクに欠かせない枠と紙のサイズについて解説します。サイズのわずかな誤差が仕上がりを不安定にしたり、作業の妨げになることもあるため、正確な測定と適切な障子紙の選定がとても重要です。 
まずは関連動画を紹介し、その後に動画内で伝えきれなかったポイントや、よくある質問への回答も含めて詳しく解説します。

■ 動画解説:障子DIYで知っておきたい枠と紙のサイズ

今回ご紹介する動画「障子リメイクするなら枠と紙のサイズについて知らないといけません【障子 DIY】」では、障子をDIYで張り替える際に知っておくべき枠の測り方や紙選びのポイントについて、職人である私が実演を交えながら説明しています。
動画では、障子枠を正しく測定するコツ(枠の内側寸法を測り、のりしろ分を足す方法)や、代表的な障子紙の種類(一枚貼り・美濃判・半紙判)の違いなどを中心に解説しました。まずはぜひ動画をご覧いただき、イメージをつかんでみてください。

いかがでしたでしょうか?動画内では触れきれなかった細かな点や、DIY時によく出る疑問点について、この後の記事部分で補足していきます。

障子のサイズに関する総合ガイドとして、採寸方法から紙の種類、さらにはトラブルへの対処法まで網羅していますので、ぜひ参考にしてください。

■ 障子サイズの基礎知識:伝統的な寸法と現代の規格

障子の寸法は何によって決まるのでしょうか? 実は、障子のサイズは日本建築の伝統的な基準である「畳(たたみ)」や「間(けん)」の寸法と深く関係しています。

日本の住宅では柱と柱の間隔(=一間:約1,818mm)が基準となり、それに合わせて障子の幅や枚数が決められてきました。例えば、部屋の幅が1間(約180cm)なら障子2枚、2間幅なら4枚という具合に、空間の大きさに応じて障子の枚数・サイズが設計されてきたのです。

これは畳のサイズにも由来しており、関東で一般的な江戸間(約176cm×87cm)の畳を2枚並べるとほぼ1間幅になることから、障子1枚の標準幅が約90cm、高さ約180cm前後に定められました。

時代とともに日本人の体格が向上したため、背の高い方向けに障子の丈も見直され、高さ2mを超えるようなタイプも登場しています。

こうした伝統寸法に基づき、現在流通している障子枠のサイズ規格も大きく分けていくつかの種類があります。代表的なものを以下にまとめます。

• 基本サイズ(大障子):幅約900mm×高さ約1,800mm前後。もっとも標準的で一般的な和室によく使われるサイズです。障子2枚でちょうど1間(約180cm)幅を覆うため、多くの住宅で採用されています。

• 中サイズ(腰障子・中間障子):幅約900mm×高さ約600~900mm程度。腰高の窓に使う障子や、上下二段構成の和室で下段に使われる障子など、やや背の低いタイプです。高さ90cm前後の「腰障子」と呼ばれるものもこの範疇に入ります。

• 小サイズ(天袋障子):幅約900mm×高さ約400mm前後。天袋(天井付近の収納棚)の開口部に使われる小型の障子です。背丈が低く、高い位置にはめ込むことで採光や通風を確保します。

• 丈長サイズ:幅約900mm×高さ約1850~2100mm程度。基本サイズより高さがあるタイプで、天井が高い部屋や背の高い方向けに用いられます。近年増えてきた高さ2m超えの和室空間に対応する障子と言えます。

• 幅広サイズ:幅約1350mm×高さ約1800mm前後(場合により高さ~2100mm)と、横幅が広いタイプです。1枚で広い開口部を覆うため、大きな窓や広間に用いると開放的な印象を与えます。障子2枚で1間半(約270cm)幅を覆う「団地サイズ」※と呼ばれるものもこの系統です。

• 幅広丈長サイズ:幅広かつ丈長の特大サイズで、幅が約900mm以上かつ高さ1850mm以上の障子を指します。特注扱いになる場合が多く、大空間の仕切りなど特殊な用途に用いられます。

※団地サイズ…古い公団住宅などで見られる幅狭の畳(約69cm幅)に合わせ、障子4枚で1間半(約270cm)を構成する規格。


以上が主なサイズ展開ですが、近年では住宅のモジュールがメーターモジュール(1m単位)になるケースもあり、その場合は既製の障子寸法が合わず特注サイズとなることがあります。

特注になると割高になるため、可能であれば設計段階で一般的な障子寸法に収まるよう調整することも検討されます。いずれにせよ、まずはご自宅の障子枠のサイズを把握し、空間に合った障子を選ぶことが大切です。空間と調和したサイズの障子を選べば、和室はより一層落ち着きと美しさを増すでしょう。

■ 障子枠の正しい測り方

DIYで障子を張り替える第一歩は、障子枠の寸法を正確に測ることです。採寸を誤ると、紙のカットミスや貼り直しの原因になりかねません。測り方の基本手順は次のとおりです。

1.障子枠の内寸(高さ・幅)を測る – 障子を枠から外し、枠の内側の高さと幅をミリ単位で測定します。ポイントは外枠の厚み部分を含めず、紙を貼る内側の寸法だけを測ることです。

定規やメジャーはできれば2人で持ち、垂直・水平を保ちながら正確に当てましょう(1人作業の場合はメジャーがたるまないよう工夫してください)。

2.「のりしろ」分を追加する – 測った内寸の値に対して、上下左右それぞれ約2cmずつ長めに寸法を取ります。四方に2cmずつ余裕を持たせたサイズが、貼り付け用ののりしろを含んだ障子紙の必要寸法となります。

例えば内寸が縦180cm×横90cmなら、実際には縦184cm×横94cm程度の紙を用意すると良い計算です。専門店に紙をオーダーする場合も、こののりしろを含めたサイズを伝えるようにしましょう。

上記の手順で正しく寸法を計測すれば、必要な障子紙のサイズが割り出せます。メジャーでの測定が難しい場合は、メモリが読み取りやすいスケール定規を使ったり、可能なら家族に手伝ってもらうと良いでしょう。正確な採寸は仕上がりを美しくするだけでなく、作業時間の短縮にもつながります。

測定時の注意: 障子枠は木製の場合、経年で多少歪みや反りが生じていることがあります。上下左右それぞれ複数個所を測り、一番大きい値に合わせて紙を準備すると安心です。紙は多少大きめでも後でカット調整できますが、小さいと継ぎ足しが必要になってしまいます。

■ 障子紙の種類とサイズの選び方

障子紙にもいくつかのサイズ規格と種類があり、用途や地域によって使い分けられています。代表的な障子紙のサイズ規格は以下の3種類です。

• 一枚貼り(幅約94cm) – 一般的な障子枠の幅いっぱいに、紙1枚で貼れるサイズの障子紙です。最もポピュラーな規格で、幅94cmは「幅90cm程度の障子枠2枚で1間幅」に対応する標準幅となっています。

高さは製品によって様々ですが、1本のロールに障子数枚分(長さ数メートル単位)が巻かれており、必要な丈にカットして使います。つなぎ目が出ないため見た目がすっきり仕上がり、初心者でも扱いやすいサイズです。

幅違いとして69cm幅や135cm幅などのバリエーションもあり、特殊な幅の障子枠にも対応できます。

• 美濃判(幅約28cm) – 幅の狭い細長い障子紙で、障子の桟に沿って横一段ごとに紙を貼り重ねる伝統的な方法に使います。一枚貼りに比べ手間はかかりますが、細かな組子模様のある障子でも無駄なく貼れる利点があります。

市販品は長さ数メートルのロール状で提供され、貼る段数に合わせてカットして使います。なお美濃判の幅はメーカーや地域で若干異なることもあり、お手持ちの障子枠のマス目寸法に適した幅を選ぶことが大切です。

• 半紙判(幅約25cm) – 美濃判よりさらに幅が狭いサイズで、昔ながらの細かな組子用の障子紙です。幅が狭い分だけ細かい桟構成の障子にも対応しやすく、自由にカットして使える柔軟性があります。

こちらも基本は横段ごとに貼り継いでいくため、作業には上級者向けの根気が必要ですが、ぴったり寸法で貼れたときの美しさは格別です。半紙判は地域によって幅24~26cm程度の違いが見られるため、購入時に組子寸法を確認して適切なものを選びましょう。

障子紙サイズ選びのポイント: 市販の障子紙は上記の規格サイズが中心ですが、古い住宅や地域によって障子枠の大きさ・マス目の寸法が微妙に異なる場合があります。

紙を購入する際は、枠の内寸だけでなく組子(格子)の幅も測っておき、特に美濃判・半紙判を使うときはその幅に合った紙を選ぶようにしてください。「幅があと数センチ足りない」「マス目より紙が僅かに狭い」という状態だと継ぎ足しやカットの手間が増え、仕上がりにも影響します。

もし市販サイズでちょうど良い障子紙が見つからない場合は、少し大きめのサイズを購入して枠に合わせてカットするのがおすすめです。余った紙は補修用に取っておくと、後述する破れ補修の際に役立ちます。

また、どうしても希望サイズの紙が手に入らない場合は、小さい紙を複数枚貼り合わせることも可能ですが、継ぎ目部分が目立ったり引っかかったりしないよう注意が必要です。

■ DIY障子張り替えのコツ:よくある質問と対処法

初めて障子の張り替えに挑戦する方から、サイズに関する次のような疑問やお悩みをよく耳にします。ここではそれらよくある質問とその対処法について、職人の視点からアドバイスします。

Q1. 障子紙は破れた部分だけ部分的に交換できますか?

A. 小さな破れであれば可能です。ホームセンターや100円ショップには、破れた部分に貼るだけの障子紙補修シールが市販されています。

穴が開いた程度なら補修シールで目立たなくすることができますし、格子1マス分だけ破れた場合はその部分だけ紙を切り抜いて貼り替えることもできます。

手元に前述の余り紙がある場合は、それを破れた箇所よりひと回り大きく切り、糊で貼って補修するとよいでしょう。

ただし、破れが複数ヶ所に及ぶ場合や紙全体が劣化して薄汚れている場合は、潔く一面まるごと貼り替えることをおすすめします。結局その方が仕上がりもきれいで、手間も一度で済むため結果的に効率的です。

Q2. サイズが合う障子紙が市販で見つからない時はどうすればいい?

A. 前述のとおり、市販品にピッタリの寸法がない場合は「大は小を兼ねる」で大きめサイズを買ってカットしましょう。

高さ・幅とも枠より十分大きな紙を用意すれば、あとは貼ってから枠に沿って余分を切り落とせば良いので安心です。

逆に、小さい紙しか手に入らない場合は、複数枚を継ぎ足して貼る方法もあります。例えば高さが足りないときは上下二枚に継ぐ、幅が足りないときは縦に継ぐ、といった具合です。

ただし継ぎ目はどうしても弱くなりがちなので、重なり部分に糊をしっかり付ける、継ぎ目が一直線に並ばないようずらす等の工夫をしてください。見た目を重視する場合は、やはり一枚物を使った方が継ぎ目が出ず綺麗に仕上がります。

Q3. 障子の寸法を自分で測るのが難しい場合はどうしたらいい?

A. 障子枠の採寸や紙選びに不安がある場合は、プロに相談するのが確実です。畳店や建具店、リフォーム業者の中には、障子の出張採寸や張り替えサービスを行っているところも多くあります。

実際、障子は高さ方向に長いので一人で正確に測るのは意外と大変ですし、寸法間違いで材料を無駄にしてしまうリスクもあります。時間や労力を考えて「失敗したくない」「プロにお任せしたい」と感じたら、遠慮なく専門店に依頼しましょう。

例えば障子紙の専門店に依頼すれば、スタッフが自宅に伺って採寸・見積もりを行い、サイズに合った紙選びから施工まで対応してくれます。

最近ではミリ単位でオーダー可能な障子も登場しており、既成サイズにとらわれずピッタリの障子戸を作ることもできます。専門業者に相談すれば、そうした最新の選択肢も含めてベストな解決策を提案してもらえるでしょう。

■ まとめ:適切なサイズ選びで和空間を快適に

障子の張り替えを美しく仕上げるには、正確なサイズ測定と適切な障子紙の選定が欠かせません。伝統的な寸法体系を踏まえつつ、ご自宅の和室に合った障子サイズを選ぶことで、空間の使い勝手も見た目の調和も格段に向上します。サイズが合った障子紙を用意し、丁寧に貼り替えることで、和室は本来の明るさと落ち着きを取り戻すでしょう。

もしサイズ選びに迷ったときや、DIYでの張り替えに不安を感じたときは、どうぞ障子.comにご相談ください。障子.comでは、伝統を大切にしながら現代のニーズに合ったオーダーメイド障子の制作や張り替えのサポートも行っています。プロの職人がミリ単位の調整にも対応し、お客様のご要望にぴったりの障子戸をご提案いたします。

障子サイズの悩みを解決し、快適な和空間づくりのお手伝いができれば幸いです。ぜひ障子.comを活用して理想の障子を実現してみてくださいね!