2025.12.18
【こだわりの和室】アンティーク障子には職人の技術が詰まっていた!
和室の表情を大きく左右する「障子」。 その中でもアンティーク障子は、木の細工や組み方に職人技が凝縮されています。 今回の障子も、シンプルながら高度な技術が求められる仕様が特徴です。 ■ 前框(まえがまち)の“尖り加工”が生むシャープな印象 一般の障子では、縦骨・横骨は6〜7mm幅の均一な材で組まれます。 しかし、このアンティーク障子では、 前側(手前側)を尖らせて細く見せる加工を施している点がポイント。 このデザインによって、障子全体の見た目がぐっとシャープな印象になります。 ■ 精密さが求められる“組み合わせ”の技術 細く見せるため尖らせると、 ・ 木材の接合部に隙間を出さない ・ ぴたりと合うように組み上げる という高度な調整が必要になります。 そのため、一般の障子よりも手間も技術も数段上の加工。 見た目の美しさの裏に、丁寧な手仕事が隠れています。 ■ 今では希少な職人技|かつては腕自慢の仕事だった 現在では、 「手間のかかる仕事はほとんど行われなくなった」 と言われるほど、希少になった技法。 昔は、 ・ 職人同士が腕を競い合い ・ 美しい細工が当たり前に作られていた という時代背景があり、アンティーク障子にはその名残が色濃く残っています。 ■ アンティーク障子は“職人の歴史”を感じられる建具 シャープな前框、隙のない組み、均整のとれた骨組み。 これらがそろって初めて成立するアンティーク障子は、単なる建具以上の存在。現代では希少な技法が詰まった、 職人の歴史と技が宿る和室の主役と言える建具です。 ■最後に 職人の技が詰まった障子.comの障子に興味を持っていただけた方は、ぜひサイトでご自分にぴったりの障子を探してみてくださいね!
2025.10.28
【大掃除】敷居の滑りをテープなしで簡単補修!重い障子の治し方
■ 動かなくなった障子、どうすればいい? 年末の大掃除中、障子が重くて開かない…。 そんな時に簡単にできる直し方を、建具職人の佐藤さんに聞いてみました。 ■ 使うのは「シリコンスプレー」 「これを使えばすぐ直ります」と佐藤さん。 用意するのは市販のシリコンスプレーと、きれいな布だけです。 ■ ポイントは「塗る場所」 実は塗る場所がとても大事。 障子の下の敷居部分に、布で均一にスプレーをなじませるだけ。 色が少し変わるくらいでOKです。 ■ 驚くほどスムーズに! 塗った後に動かしてみると…スーッと軽く動くように。 シリコンを塗っていない方と比べると、違いは一目瞭然。 ■ 下だけで十分 「上には塗らなくて大丈夫。下だけで十分です」と佐藤さん。 障子が重く感じたら、まずはこの方法を試してみてください。 ■ まとめ テープも特別な工具も不要。 シリコンスプレーひとつで、重い障子が驚くほど軽く動くようになります。 年末の大掃除にぴったりの簡単メンテナンスです。 ■最後に 職人の技が詰まった障子.comの障子に興味を持っていただけた方は、ぜひサイトでご自分にぴったりの障子を探してみてくださいね!
2025.10.28
【必見】障子の正しい使い方を聞いたら目から鱗だった話
■ 障子を長持ちさせるコツは「優しく扱う」こと 「障子を長く使うには、どうすればいいですか?」という質問に、建具店の会長が答えてくれました。 ポイントはとてもシンプル。 開け閉めを“優しく”行うこと。 「力を入れてバタンと閉めるのではなく、そっと開けて、そっと閉める。お茶会などの場ではそれが当たり前の作法なんですよ」と会長。 日常のちょっとした心がけが、障子を長持ちさせる秘訣なんですね。 ■ 掃除の基本は“乾いた道具”で 次に気になるのが掃除の仕方。 「昔はハタキでホコリを落としたり、うすい空気の吹き出し(空吹き)で掃除していました」と会長。 濡れ雑巾で拭くのはNG。 障子紙が湿気で伸びたり破れたりしてしまうため、乾いた方法でホコリを落とすのが基本だそうです。 ■ 現代の家でも使える“やさしい掃除法” 最近の住宅はフラットな壁が多いですが、日本家屋は凹凸が多いのが特徴。 そこにホコリが溜まりやすいので、軽いハンディモップなどで優しくなでるように掃除するのが効果的。 「そのくらいの掃除なら、とても良いと思いますよ」と会長も太鼓判。 ■ まとめ 障子を長く美しく保つコツは、 ・ 優しく開け閉めする ・ 濡れた布では拭かない ・ 軽いハタキやモップでホコリを取る という、昔ながらのシンプルな習慣。 日本の建具には、“手をかけることで長持ちする”という知恵が詰まっています。 ■最後に 職人の技が詰まった障子.comの障子に興味を持っていただけた方は、ぜひサイトでご自分にぴったりの障子を探してみてくださいね!
2025.10.28
【職人仕事】この特殊な工具じゃないとできない仕事がある
建具職人の佐藤さんに、見慣れない形の鉋を見せてもらいました。 一見すると「変わった鉋」に見えますが、これは紙貼り鉋(かみはりがんな)」と呼ばれる特別な道具。 ■ 紙を貼る部分を削るための“専用鉋” この鉋は、障子の「紙を貼る部分」だけを削るための専用工具です。 ほんのわずかな深さを一定に削ることで、紙がぴったりと収まるように仕上げられます。 ■ 普通の鉋ではできない仕事 「この鉋はその作業にしか使わないですね」と佐藤さん。 まさに障子建具職人特有の鉋であり、日々の手仕事の中で欠かせない存在です。 細部の仕上げに欠かせない一本なんです。 ■ 一枚の障子に込められた手仕事 「毎日心を込めて障子を作っています」 そんな佐藤さんの言葉からは、効率よりも“美しさと丁寧さ”を重んじる職人の誇りが伝わってきます。 ■最後に 職人の技が詰まった障子.comの障子に興味を持っていただけた方は、ぜひサイトでご自分にぴったりの障子を探してみてくださいね!
2025.10.20
【職人仕事】特殊な鉋(かんな)が生み出す、建具職人の技
建具職人の佐藤さんに、見慣れない形の鉋を見せてもらいました。 一見すると「変わった鉋」に見えますが、これは紙貼り鉋(かみはりがんな)」と呼ばれる特別な道具。 ■ 紙を貼る部分を削るための“専用鉋” この鉋は、障子の「紙を貼る部分」だけを削るための専用工具です。 ほんのわずかな深さを一定に削ることで、紙がぴったりと収まるように仕上げられます。 ■ 普通の鉋ではできない仕事 「この鉋はその作業にしか使わないですね」と佐藤さん。 まさに障子建具職人特有の鉋であり、日々の手仕事の中で欠かせない存在です。 細部の仕上げに欠かせない一本なんです。 ■ 一枚の障子に込められた手仕事 「毎日心を込めて障子を作っています」 そんな佐藤さんの言葉からは、効率よりも“美しさと丁寧さ”を重んじる職人の誇りが伝わってきます。 ■最後に 職人の技が詰まった障子.comの障子に興味を持っていただけた方は、ぜひサイトでご自分にぴったりの障子を探してみてくださいね!
2025.10.16
【職人仕事】この工具じゃないとできない仕事がある
建具職人・佐藤さんの手にあるのは、少し変わった形の鉋(かんな)。 これは「際鉋(きわがんな)」と呼ばれる、職人の必需品です。 ■ 際鉋(きわがんな)とは? 際鉋は、木の角(かど)や端(はし)ぎりぎりを削るための特別な鉋です。 普通の鉋は刃が真ん中にあるため、壁際などは削り残してしまいます。 ですが、際鉋は刃が片側に寄っているので、端まできれいに削れるのが特徴。 ■ 障子づくりに欠かせない道具 佐藤さんによると、障子の「面取り」など細かい仕上げにはこの鉋が欠かせないそうです。「普通の鉋では届かない場所も、際鉋なら端まできれいに削れるんですよ。」 実際に使うと、木の角が滑らかに整い、美しい仕上がりに。 “この工具じゃないとできない仕事がある”という言葉がぴったりです。 職人の手仕事は、こうした道具の工夫に支えられています。 道具を知ることは、職人技の本質を知ることでもあります。 ■最後に 職人のこだわりが詰まった障子.comの障子に興味を持っていただけた方は、ぜひサイトでご自分にぴったりの障子を探してみてくださいね!
2025.10.16
【職人仕事】失われていく職人仕事について聞いてみた
■ 茶室の丸窓の美しさ 大河ドラマなどで見かける茶室の丸い窓。 壁を円形にくり抜き、竹や木の組み目が見えるあのデザインは、見る人を惹きつけます。 ■ 職人の技による伝統工法 丸窓は建具屋ではなく、壁を組む小舞職人と左官職人の手仕事によるものです。 竹や葦を編み込み、土を重ねて塗り、円形に塗り残すことで丸い形が生まれます。 ■ 技術の継承が難しい現状 こうした技術を持つ職人は減少中。 京都ではまだ職人がいますが、地方ではほとんど見られません。 塗り壁には下地・中塗り・上塗りと手間がかかるため、依頼する人も少なくなっています。 ■ 現代の代替方法 現代の素材を使えば、プラスターボードやクロスで似たような見た目は作れます。 しかし、本物の職人仕事が持つ深みや質感には及びません。 ■ 職人仕事の価値 手間と時間をかけ、自然素材と向き合う職人の技。 失われつつあるこの仕事の価値を、私たちは改めて見直す必要があります。 ■最後に 職人の技が詰まった障子.comの障子に興味を持っていただけた方は、ぜひサイトでご自分にぴったりの障子を探してみてくださいね!
2025.10.09
大量注文を受注!人気建具店・障子づくりの現場へ
大量の障子注文が入り、工房がフル稼働中。今回のブログでは、実際の製作工程をのぞき見しながら、障子.comの障子づくりのこだわりを紹介します。 ■ 木取り作業からスタート まずは材料となる秋田杉を、用途に合わせて切り出す「木取り」から。 大きな材を長さごとにカットし、その後さらに細く割っていきます。 ■ 材木を“直角”に整える加工 次に行うのは「背押し・端挽き」と呼ばれる四面加工。 木の角度をしっかり直角に揃えることで、最終的な建具の精度が決まります。 美しい障子は、この“見えない精度”の積み重ねから生まれます。 ■ 墨付けで正確な位置を記録 続いて行うのは、骨の位置を記録する「墨付け」。 寸法やホゾ位置を一本ずつ印し、この墨が“地図”の役割を果たします。 たくさんの障子を作るときほど、この工程の正確さが全体の美しさに直結します。 ■ ホゾ加工で強度を生み出す 墨付けを終えた材は、ホゾ(凸)とホゾ穴(凹)を加工します。 この“組み手”がしっかり噛み合うことで、軽くても強い障子が完成。 強度の秘密は、細かい部分の丁寧な手仕事にあります。 ■ 骨組みを組み立てる 加工された材を1本ずつ組み込み、だんだんと障子の形に。 プレス機で圧力をかけて締め、さらに上から叩いて微調整。 横ゆがみやねじれがないかも確認し、寸法をしっかり確定します。 ■ 隅を整え“紙が映える”仕上げへ 完成直前の工程では、紙を貼ったときの見た目を左右する“角出し”を行います。 細かな段差を取り、ピンとした美しい障子紙が貼れる状態に整えます。 ■ 完成!全国へ発送 こうして1枚の障子が完成。 丹精込めて仕上げた障子は、梱包され全国の工務店や個人の方へ届けられます。 障子.comでは、上質な秋田杉を使った高品質障子を全国発送。大量注文にも迅速に対応します。 ■最後に 大量注文でも高品質な障子を納品いたします。 全国の工務店様、もちろん個人のお客様も歓迎。 「障子.com」にお気軽にご相談ください!
2025.02.04
【建具 かんな】現役建具職人が障子づくり用の鉋について全部話します!
障子や木工製品の仕上げに欠かせない「カンナ」。今回は、建具職人・佐藤さんに、カンナの種類や使い分け、調整の仕方、さらには実際の削り方まで詳しく解説していただきました。 ■そもそも「カンナ」とは? カンナ(鉋)とは、木材の表面を削って滑らかに整えるための道具。大工さんは粗削りから仕上げまで幅広く使いますが、建具職人の世界では主に「仕上げ」や「微調整」に使用されます。 例えば、障子の部品同士の組み立て後の微妙な段差を整えたり、見た目を美しくするために使われるのがカンナです。 ■主なカンナの種類と使い分け 佐藤さんが普段使っているのは、主に以下の3種類のカンナです。 ①平鉋(ひらがんな) ・表面全体を平らに削るための基本のカンナ ・角を少し丸めたり、面取りをしたりするのにも使用 ・大・中・小サイズあり、用途に応じて使い分け 【平鉋(ひらかんな) 替え刃式鉋・替え刃】http://shop-kawai.g.dgdg.jp/kaebakanna_hanbai.html ②際鉋(きわがんな) ・刃が端までついていて、角や細かい部分の削りに最適 ・「右勝手」と「左勝手」があり、削る方向によって使い分け ・障子の「ほぞ」部分など、通常のカンナでは届かない場所にも対応 【際鉋(きわかんな)】http://www.iwood.jp/iwood/image/2012-d/18.jpg ③紙貼鉋(かみはりがんな) ・障子紙を貼る部分(紙じゃくり)専用のカンナ ・紙一枚分だけ削れるように、刃の幅も非常に狭い障子専用のカンナ ・2回ほど軽くかければ、紙の厚みにぴったり合う 【紙貼鉋(かみはりかんな)】https://store.shopping.yahoo.co.jp/jindaikohonpo/kakusyu-kanna-069.html?sc_i=shopping-pc-web-result-storesch-rsltlst-imghttps://store.shopping.yahoo.co.jp/jindaikohonpo/kakusyu-kanna-069.html?sc_i=shopping-pc-web-result-storesch-rsltlst-img ■カンナの構造と調整方法 どのカンナも基本的な構造は共通で、「刃(神刃)」と「裏金(押さえ刃)」の2枚構成です。 鉋身(かんなみ): 実際に木材を削る主刃 裏金: 鉋身をしっかり押さえる補助刃 調整は刃の出具合で行い、叩きながら微調整していきます。刃を出しすぎると厚く削れ、引っ込めると薄くなります。 近年では、刃を取り替えられる交換式のカンナも登場し、一般の方でも手軽に使えるようになりました。切れ味も良く、手入れが苦手な方にもおすすめです。 ■実演!職人のカンナ削り 佐藤さんに、実際にカンナで木材を削る様子を見せていただきました。 ①平鉋(ひらがんな)の削り方 ・面をなだらかに整える用途に使用 ・少し斜めに当てて引いていくのがコツ ・力加減を一定に保つことで美しく削れる ②際鉋(きわがんな)の削り方 ・刃が端まであるので、隅まできれいに削れる ・障子の角や細部、ホゾの面取りなどに使用 ③紙貼鉋(かみはりがんな)の削り方 ・障子紙の貼り部分(紙じゃくり)削る。2回削ると紙1枚分の深さになるように調整されている。 ※障子は、紙じゃくりに障子紙を貼ると障子本体と紙の表面が平らになる作りになっている ・他のカンナでは不可能な繊細な加工が可能。 ■ まとめ:カンナは職人の“手の延長” カンナは、見た目以上に繊細で調整が難しい道具です。しかし、その分、職人の技術がダイレクトに表れる道具でもあります。 障子を一枚仕上げるだけでも、こうした多彩な道具と技術が使われていることを知ると、ものづくりへの敬意が生まれますね。 ■ 最後に この動画が参考になった方は、ぜひ「いいね」と「チャンネル登録」をお願いします!また、興味を持っていただけた方は、ぜひ障子.comのサイトをご覧ください。
2025.02.04
障子の正しい張り替え方【初心者向け】プロが教える道具・手順とサイズ選びのコツ
障子.comでは、世界に誇る日本文化である建具職人の技と心を守り伝え継ぎ、和の心と調和を大切にしながら、心安らぐひとときをつくるために障子や建具に関する情報を発信しています。 ここでは「障子の張り替え方」に関する解説動画と記事をご紹介します。初心者の方でも安心して取り組めるよう、道具選びから張り方のコツまでプロの視点で丁寧に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 ■ 動画紹介:プロ職人が教える障子紙の基本の張り替え方 今回私たちは山形県の「齋藤勇治建具店」さんにお邪魔し、プロの障子貼り職人である佐藤さんから障子紙の正しい張り替え方を教えていただきました。 動画では「障子の張り替えって難しそう…」「道具や糊の選び方が分からない…」といった初心者の不安を、丁寧な説明で解消してくれます。誰でもすぐに実践できるよう、道具選びから貼り方のコツまで細かなポイントもすべて網羅!ぜひ動画と合わせて解説記事も参考にしてみてください。 ※この記事の読み方:まず動画内で紹介された内容をまとめ、後半で動画で解説しきれなかった部分やよくある質問について補足します。記事を読めば動画の内容がさらに理解でき、障子張り替えに関する疑問も解決するはずです。最後には障子.comを活用した相談や購入のご案内もあります。 ■ 張り替えに必要な道具と材料 初心者が障子の張替えに挑戦する際は、事前の道具準備が成功のカギです。動画で使用していた道具・材料と選び方のポイントを紹介します。 • 障子用のり(糊) – 必ず障子紙専用の糊を使用します。市販の安価な液体のりやスティックのりで代用すると、乾燥後の接着力が強すぎて紙が剥がしづらくなるなど障子には不向きです。 障子専用糊は澱粉など天然由来成分でできており紙に優しく、水溶性で張り替えもしやすいのが特徴です。 使用時はメーカー説明書どおりに水で希釈しましょう(目安は糊:水=10:1程度)。水が多すぎると接着力が落ち、濃すぎると乾燥時に紙が収縮して桟を強く引っ張りすぎてしまいます。 • 障子紙 – 破れにくいタイプの障子紙を選ぶと作業が格段に安心です。動画では一般的な障子紙より破れにくく扱いやすい「タフトップ」という強化紙を使用しました。 縦に引っ張っても簡単には裂けず、水に濡れても繊維が強いため初心者でも扱いやすい紙です。特に小さなお子さんやペットのいるご家庭では、多少ぶつかったくらいでは破れにくい強化紙がおすすめです。 反対に、極端に薄かったり安価すぎる紙(例:100円ショップの障子紙)は破れやすく扱いが難しいため避けたほうが無難でしょう。 •刷毛(のり刷毛) – 桟にのりを塗るためのハケです。毛が抜けにくくコシのある障子貼り専用の刷毛を用意しましょう。職人は豚毛など高品質な刷毛を使いますが、家庭で一度きりの使用なら市販の安価なものでも構いません。 ポイントは刷毛をトントンと置くように使えること。実際の動画でも、刷毛を叩くようにして均一に薄くのりを塗っていました。 • カッターナイフ – 紙を仕上げにカットするため、新品の刃を用意します。刃先が鋭利でないと紙が綺麗に切れず毛羽立つ原因になります。 またカッターは寝かせ気味の角度で使うと滑らかな切断面になります(立てすぎると切り口がギザギザに荒れます)。 •定規(カット定規) – カッターで切る際に当てる定規です。できれば障子の桟の幅に合った長さの定規があると一気に切れて便利ですが、家庭では手持ちの長めの定規でもかまいません。 透明なアクリル定規(厚さ5mm程度)だと下の桟が見えてラインを合わせやすく、安全に力をかけられます。桟に沿わせて使うため、多少厚みと重さがあるものが安定して切りやすいでしょう。 •その他の道具 – マスキングテープ(またはセロハンテープ):紙を仮止めするのに使います。 のり用トレー:糊を入れて刷毛で使う容器。市販のものや代用品として靴のサイズトレーなど平たい容器でもOKです。スポンジや霧吹き:古い紙を剥がすときに水を含ませて使います(詳しくは後述)。 雑巾:桟の汚れ拭き取りや、のり拭き取り用に数枚用意しましょう。 ▽メモ:障子紙の種類と貼り方について現在、障子紙の貼り方には「糊貼り」のほかにアイロン貼りタイプや両面テープ貼りタイプの商品も市販されています。 アイロン貼りは紙の片面に熱で溶ける樹脂糊が付いたもので、アイロンの熱を当てて接着します。両面テープタイプはあらかじめ桟に専用両面テープを貼り、その粘着で紙を貼る方法です。 いずれも手軽さが魅力ですが、本記事ではオーソドックスな「糊で貼る方法」を中心に解説します(他タイプを使用する場合も基本的な手順自体は似ています)。 ■ 手順:障子紙の張り替え基本ステップ それでは、実際の障子紙の張り替え手順を5つのステップに沿って説明します。初心者の方でも失敗しにくいようポイントを押さえていきましょう。 1. 古い障子紙を剥がす まずは古い障子紙の取り外しから始めます。前の紙が付いたままでは新しい紙を綺麗に貼れないので、ここは丁寧に行いましょう。剥がし方は以前の貼り方によって異なります。以下の方法を参考にしてください。 • 糊で貼ってあった場合(一般的な障子紙):霧吹きや水を含ませたスポンジで、古い紙の上から桟をまんべんなく濡らします[7]。水をかけると糊がふやけて紙が剥がしやすくなります。数分おいてから端からゆっくり紙を剥がしましょう。無理に引っ張らず、糊の部分が充分濡れていることを確認しながら進めると綺麗に取れます。 • アイロン貼りタイプの場合:紙の端にアイロンをあて、糊樹脂を熱で溶かしながらゆっくり剥がします。熱いうちに少しずつはがすと比較的簡単に取れます。 • 両面テープ貼りタイプの場合:紙がビニール系素材で裏にテープ糊が付いた強化障子紙などは、角からそのまま引き剥がすか、必要に応じてドライヤーの温風を当てて粘着を柔らかくしつつ剥がします。プラスチック障子紙はペリッと一気に剥がせることも多いですが、破れにくい分粘着力が強い場合は無理せず、専用剥がし剤を使う方法もあります。 古い紙を剥がしたら、桟に残った糊や紙片を綺麗に除去します。濡らした布やスポンジで桟を擦り、古い糊をふやかしながらヘラ等で丁寧に削り落としてください。 この下地処理を怠ると新しい紙がしっかり付かず、仕上がりにシワや凸凹が出る原因になります。桟全体を拭き終えたら完全に乾燥させましょう。濡れたまま次の工程に進むとのりがうまく付かないので注意してください。 2. 新しい障子紙の位置合わせ(仮止め) 次に、新しい障子紙を障子枠に仮止めして位置を決める作業です。いきなり貼り始めるのではなく、最初に紙の位置決めをすることで「曲がって貼ってしまった」「足りない部分ができた」といった失敗を防げます。 1.障子の桟(さん)全体に新しい紙を重ねてみて、紙を貼る向き・位置を確認します。ロール紙の場合は紙を転がして全体にかぶせ、紙の端が四方の枠から2~3cmずつ余裕を持ってはみ出す位置に調整しましょう。柄物の紙の場合も、図柄が桟に対して違和感なく配置されるかを確認します。 2.紙の位置が決まったら、障子枠の上辺の桟に紙をテープで仮止めします。まず上辺中央あたりを1ヶ所留め、紙が枠に対して平行になっているか確認します。 歪んでいれば貼り直し、真っ直ぐなら上辺の左右端もテープで留めて計3ヶ所固定します。マスキングテープが剥がしやすくおすすめですが、無ければセロテープでも代用可能です。 3.テープで仮固定したら、一度紙を巻き戻すように半分ほど丸めておきます。これからのりを塗るため、紙が邪魔にならないよう枠の外側に丸めて避けておくイメージです。 ※ポイント:紙の寸法と障子サイズ 市販の障子紙には幅や長さにいくつか規格があります。一般的な障子(半間サイズ)なら幅94cm前後のロール紙で足りますが、丈の長い障子向けに幅広・丈長の紙も売られています。張り替え前にお使いの障子のサイズを測っておくと、紙を選ぶ際に迷いません。 障子の高さや桟の数によって必要な紙の長さが異なるため、購入時は「○本分貼れる〇m巻き」といった表示もチェックしましょう。【半間(はんけん)サイズ=一般的な和室窓の障子1枚の大きさ】 もし特殊なサイズの障子や紙の寸法選びに不安がある場合は、当サイトの「障子サイズの測り方ガイド」(内部リンク)も参考にしてください。 3. 桟に糊を塗る それでは障子枠に糊を塗布していきます。ここはスピードよりも均一に塗ることが大切です。 • 糊の準備:障子用のりをトレーに出し、必要に応じて所定の割合で水を加えてよく混ぜます。糊の硬さの目安は「重湯(おもゆ)」くらい、刷毛でスッと塗れる緩さです。練りすぎずダマにならないよう滑らかにしておきましょう。 • 塗り始める位置:仮止めしている上辺から塗り始めます。まず細い桟(縦横に格子状に組まれた部分)のほうを先に塗り、最後に四方の太枠(外枠)を塗る順番がおすすめです。外枠は最後にすることで、塗った後すぐ紙を貼り付ける際に手や服にのりが付くのを防げます。 • 刷毛の使い方:刷毛にはたっぷり糊を含ませず、桟の上を軽く叩くようにトントンと置いて塗っていきます。ゴシゴシと刷毛を引きずると糊ムラやはみ出しが大きくなるため、「点置き」するイメージで細かく叩き塗りしましょう。薄く均一に糊が乗れば十分で、べったり厚塗りは不要です。 • 塗る量と範囲:桟の木部が一面うっすら濡れる程度に糊が行き渡ればOKです。多少はみ出しても乾けば透明になりますので神経質にならなくて大丈夫です。 外枠部分は内側寄りに幅1~2cm程度の帯状に糊を塗ります(外枠全面に塗る必要はありません)。また、一度に全部の桟に糊を塗ろうとせず、上半分から貼って下半分というように少し塗って貼り、また塗って貼り進める方法だと焦らず確実です。初心者の方は特に、欲張らず段階的に作業するほうが失敗しにくいでしょう。 (※もし「速乾性」の障子用接着剤を使う場合は、一気に貼らず2/3ずつ塗って貼るなど工夫してください。通常のんびりやっても糊がすぐ乾いて貼れなくなることはありませんので、落ち着いて作業しましょう。) 4. 新しい障子紙を貼り付ける 糊付けができたら、乾かないうちに障子紙を貼り付けます。先ほど仮止めして巻き戻しておいた紙をゆっくり転がしながら桟の上に乗せていきましょう。 • 貼り始め:最初に固定した上辺から紙を転がして貼ります。紙がたるまないようピンと張りながら、端から順に空気を押し出すように指または手のひらでなぞりつつ貼っていきます。一度に全部を貼ろうとせず、例えば桟の半分くらい糊を塗って貼ったら、残り半分をまた塗って貼る、というようにすると初心者でも落ち着いて作業できます。 • 位置の微調整:貼っている途中で紙が歪んでしまった場合は、糊が乾く前であればそっと紙を持ち上げて貼り直すことも可能です。無理に引っ張りすぎると紙が破れますので、力加減に注意しながら優しく調整してください。強化紙とはいえ過度な力には弱いので丁寧に扱いましょう。 • 貼り終わったら押さえる:全体に紙を乗せ終えたら、桟の格子一つ一つの上から手のひらで軽く押さえて紙を密着させます。桟と紙の間にしっかり糊が行き渡り密着することで、仕上がり後のシワや浮きを防ぎます。特に桟の端部(四隅)は浮きやすいので念入りに押さえましょう。 • 紙の巻きグセ対策:ロール紙の場合、巻いてあったクセで貼った直後に紙が端から少し浮いてくることがあります。動画では手のひらで押さえて対応していましたが、ドライヤーの弱風を少し離して当てると紙が暖まり巻きグセが取れ、貼り付けやすくなる場合もあります。必要に応じて試してみてください。 5. 余分な部分をカット・仕上げ乾燥 貼り付けが完了したら、はみ出している紙をカットして仕上げます。 • カットするラインを決める:まず障子枠の縁に沿って、紙に爪で軽く筋をつけます。こうすることで後でカッターの刃を当てるラインが見やすくなります。特に薄い紙の場合、この一手間で格段に切りやすくなるのでおすすめです。爪の筋がつけにくい場合は、四隅に鉛筆で目印をつけて定規を当てる方法でもOKです。 • 定規を当てて切る:障子枠の木にピッタリ沿わせるように定規を当て、カッターナイフで余分な紙を一気に切り落とします。カッターは必ず切れ味の良い刃先を使用し、途中で引っかかったら刃を折って新しい切れ味で再開しましょう。途中で止めず一気にスーッと切るのが綺麗に仕上げるコツです。焦らずに定規をしっかり押さえ、刃は寝かせ気味で動かすと滑らかに切れます。 • テープの除去:カットが終わったら、先ほど仮止めに使ったテープを静かに剥がします。テープで押さえていた部分の紙も切り離されているはずなので、それらの余分な紙片も全て取り除きましょう。これで新しい障子紙が枠ぴったりのサイズに張られた状態になりました。 最後に、貼った障子紙をしっかり乾燥させます。貼り終えた直後の紙はまだ水分を含んでおり、時間とともに収縮していきます。必ず一晩以上おいて完全に乾燥させてから障子を建て付けましょう。急いで元に戻すと、乾燥収縮する途中で細い桟を引っ張り、枠全体が歪んでしまう恐れがあります。特に貼りたて直後は見えなくても、乾燥するにつれて紙が張ってくるので、ここは焦らず丸一日程度静置するのが無難です。 豆知識:雨の日の作業が実はおすすめ? 実は障子の張り替えは雨の多い時期に行うときれいに仕上がるという話があります。紙は湿気を含むと伸び、乾燥するとピンと張る性質があります。そのため梅雨時など空気中の湿度が高い日に貼ると、乾いたときに一層紙がピンと張ってシワのない状態になりやすいのです。 意外に思われるかもしれませんが、晴天のカラッと乾燥した日よりも、適度に湿度がある環境のほうが仕上がりが良い場合もあります。ただし湿度が高すぎると乾燥に時間がかかるため、作業後は十分に乾燥時間をとってください。 ■ よくある質問と仕上げのコツ 最後に、障子の張り替えに関してよく寄せられる疑問や、プロの現場からのアドバイスをQ&A形式で補足します。 Q1. 貼った後にシワやたるみができたら霧吹きをしてもいいの? A. 小さなシワであれば、乾燥過程で紙が収縮するにつれて自然に伸びて目立たなくなることが多いです。どうしても気になる場合、軽く霧吹きして紙を湿らせると乾燥時にピンと張るためシワ取り効果があります。 ただし霧吹きの多用には注意が必要です。特に強度の高い障子紙は湿らせると紙の張力が非常に強くなり、糊やテープの接着力を上回って紙が剥がれたり、木枠自体を引っ張って桟が反って曲がってしまうことがあります。実際、小さな雪見障子(下部にガラスが入った小窓付き障子)で霧吹きをしたところ、紙の収縮力で枠が反り返ってしまった例も報告されています。 プロの佐藤さんも「基本的に霧吹きは使わない」とおっしゃっていました。貼り直しがきく段階なら思い切って貼り直すのが確実ですし、霧吹きを使う場合でも一度に吹きかける水の量を控えめにし、乾燥後に枠が歪んでいないか注意深く確認するようにしましょう。 Q2. 障子紙は毎年張り替えないといけないの? A. 昔は年末の大掃除で毎年張り替えるご家庭も多くありましたが、現在では毎年張り替える必要はありません。近年は障子紙の品質も向上し、破れにくい強化紙も増えています。「破れたり黄ばみが酷くならなければ3~5年に一度の張り替えで十分」というのが一般的です。 日当たりが良く常に日光にさらされている障子は紙が傷みやすいためもう少し早めでも良いですが、無理に頻繁に替えることはありません。紙が破れたり汚れが気になってきたら交換のタイミングと考えましょう。 Q3. 両面テープやアイロンで貼るタイプの障子紙も気になります。違いはありますか? A. 両面テープ式やアイロン式の障子紙は、初心者には扱いやすく時短になるというメリットがあります。アイロン式はアイロンをかけるだけ、テープ式は糊を使わずシール感覚で貼れるため、手や周囲を汚しにくい利点があります。 ただし、これらは製品ごとに貼り方・剥がし方のコツが異なります。例えばアイロン障子紙は温度管理やアイロンを当てる時間に注意が必要ですし、テープ式も一度貼ると貼り直しが難しい場合があります。また、仕上がりの風合いという点では、昔ながらの糊貼りは紙がピンと均一に張って美しく、時間が経っても剥がれにくいという声もあります。 どの方法にも一長一短ありますので、「手軽さ優先」か「伝統的な仕上がり重視」かで選ぶと良いでしょう。迷ったときは当店にご相談いただければ、用途に合った障子紙選びをお手伝いします。 Q4. 自分で張り替える自信がない場合はどうすればいい? A. 張り替え作業が不安な方、あるいは枚数が多くて大変な場合は、プロに依頼するのも一つの手です。【和室のプロ】である建具職人に任せれば短時間で綺麗に仕上げてもらえますし、初心者にありがちなシワやたるみ、貼り直しのリスクもほとんどありません[36]。自分で失敗して紙を無駄にしたり、何度もやり直す手間を考えると、プロに任せてしまったほうが結果的に時間もコストも抑えられるケースも多いです。 さらに業者ならではの豊富な紙の種類から選べる強みもあります。部屋の雰囲気に合わせたデザイン紙や、障子そのものの新調・リフォームなど、プロならではの提案も受けられるでしょう。もしDIYに不安があるときは遠慮なく専門家に相談することをおすすめします。 ■まとめ 障子紙の張り替えは、正しい道具選びと手順のコツさえ押さえれば、初心者でも十分きれいに仕上げることができます。古い紙の剥がし方から糊の塗り方、仕上げのカットまでポイントを順に説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?ぜひこの解説と動画を参考に、ご自宅の障子張り替えにチャレンジしてみてください。伝統的な障子が真新しく生まれ変われば、和室の雰囲気も一段と明るく心地よいものになるでしょう。 とはいえ、「自分でやるのはちょっと不安…」「忙しくて時間が取れない」という方もいらっしゃるかもしれません。その場合は障子.comをぜひ活用してください!障子.comではプロの建具職人による張り替えサービスの相談や、強度アップした障子紙・伝統柄障子紙など商品の購入も承っております。あなたの困り事やご要望に合わせて最適な解決策をご提案いたしますので、張り替えでお悩みの際はお気軽にご相談ください。 和の空間を支える障子を通じて、皆さまが快適で心安らぐひとときを過ごせますよう、障子.comがお手伝いいたします。ぜひ当サイトのサービスや関連情報も活用して、理想の和室づくりにお役立てください。 この記事と動画が、あなたの障子張り替えの一助となれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。これからも障子.comでは、伝統の技を活かした和の暮らしに役立つ情報を発信してまいります。障子や建具について何かありましたら、いつでもご連絡・ご相談ください。あなたの和室が素敵に生まれ変わるお手伝いができれば嬉しく思います。では、楽しいDIYライフと快適な和の住まいをお楽しみください!